痴呆症の介護の大変さ

痴呆症の介護の大変さ

痴呆症の介護の大変さ

春先に牡丹色の花が咲く石楠花もわが家の自慢の木です。今度はそれを抜こうと父は果敢に挑戦しています。大きすぎて父の手には負えません。そこでスコップを取り出して、掘り起こしにかかりました。日も暮れて暗闇の中、父はそれでもやめません。父や義父の行動は、義母が心配するように夫甲なにかにとりつかれているのでしょうか。私もそんな気さえしてきます。昔とった杵柄で父や義父の年代の人は、なんでも自分で器用にこなします。ちょっとした家の修繕や電気のタコ足配線などはお手のもの。私たちと違って、いちいち業者には頼みません。ですから、家の中には父が手がけたものがたくさんあります。そのどれもがくふうを凝らしてあつて感心してしまいます。一〇センチほどの高さの台は椅子にすわつたときに足をのせるととても楽です。脳梗塞を患った母のために、家にあつた板切れを見つくろって八〇歳を過ぎた父が作ったものです。義父もぎめな人で、日差しの当たる窓辺に毎年朝顔やへちまを植えていました。竹で組んだ支柱を立て、蔓をはわせて日除けを作ります。つい最近までおっくうがらず、さつとやってしまう義父でした。しかし二人とも今ではすっかり手順がわからなくなってしまいました。

 

 

…痴呆症を知らない人は、「そんな危険なものはかたづけておけばいいではないか」というかもしれません。私も最初はそう思いました。しかしそれがなかなかそう簡単にはいかないのがこの病気です。家中探しまわってひっかきまわされるので、すべてを取り上げるわけにはいきません。ある程度気がすむまでさせないとかえって混乱することがあるので、この兼ね合いがむずかしいのです。それにしても本人は昔と同じように体が動くと思っているのでしょうか、屋根でもどこでも上ってしまうのには恐れ入ります。危険という感覚が鈍ってしまうので注意が必要です。


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